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2012年オーサン基地航空ショーで、展示機以外に2機のU-2Sのミッション飛行を見る事ができた。しかも2012年10月20日21日の二日間で撮影できたU-2Sは、何と3機に及び実に幸運な年となった。しかも「ASARS-U」と呼ばれる発展型合成開口レーダーを機首に取り付けた”長鼻U-2S”を間近に見ることもできたのだ。デザートストーム作戦等で空軍や巡航ミサイルの攻撃の成果を確認する目的でも、このU-2Sが活躍されたとしており、朝鮮半島の北部一帯の地上軍兵力を正確に掌握する上でも、オーサンにU-2を配備して北側の動きを捉えておく必要があるのであろう。想像力を逞しくさせる魅力的な機体である。
タッチダウンを何とか押さえて安心したが、よく考えてみたらこのU-2S着陸後、最後にはハンガーに戻るために滑走路端で回頭してこちら側に転がってくるはずだ。また慌てて展示エリアの末端まで走って戻る事に。既に基地の警備員が追い出しの為のミーティングを行っていたが、警備員に妨げられる事もなくタキシング迄撮ることができた。下部に見える多数のアンテナは胴体と右のスーパーポッドから出ており、左のスーパーポッドには付いていない。
U-2's Page
Wings
10月20日朝09:53 オーサン基地を離陸して行ったU-2S。会場入り口から順に展示機を撮っていたら、予定より早くU-2展示機が展示飛行で離陸したと思い込んでいた。尾翼に白いシャドーの入っていることから、2012年8月に横田に来た”BB-337”だと確信。「この展示機が戻ってくれば いただきだ!」と喜んでいたものの、この鼻の長いU-2Sはミッション飛行だったのだ。友人曰く「ミッションなら帰ってくるのは夕方か夜・・我々エプロンからは追い出されているよ」。これで望みは薄くなった。大いに落胆し再びグレーの気分に。
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この日のオーサン基地、すべての展示プログラムが終了し観客追い出しの準備が始まっていた。私は展示機を撮りながら出口方面に向かって歩いていた。ふと夕暮れの山に目をやると、そこに何とU-2のシルエットが!!「ミッションしていた機体が帰って来たんだ」 基地の出口近く迄移動していた私は、久々に焦った・・ ロープ際までダッシュしないとタッチダウン撮影に間に合わないではないか!老体に鞭を打ちながら何とかランウェイの見通せるロープ際まで走り、望遠レンズに交換。何とかU-2のタッチダウンを撮ることができた。そのU-2は、鼻が長く・変形のスーパーポッドを付け・腹に多数のアンテナを生やし・尾翼にはシャドーの入った”BB-337” 横田で悔しい思いをしたあの機体だった。
16:52分タッチダウン・・・もう日が暮れかかっておりISOを上げないと撮れない。リバーサルフィルムなら諦めなければいけない時間だった。
さて この鼻の長いU-2S,機首に付けられているシステムは、「ASARS-U」という発展型合成開口レーダーらしい。これは、U-2偵察機の偵察システムのバリエーションとして1980年代初頭にレイセオン社の支援を受けてヒューズ社が開発したものである。地上に制止された物体または移動中のターゲットを正確に捉えることが出来ると言われる。捉えられたターゲットは、広帯域のデータリンクにより地上局へ送信さ、その捜索レンジは非常に広範囲で高解像度を実現したとされている。この「ASARS‐U」は、イラクのデザートストーム作戦でも 目標位置や作戦で得た戦闘被害評価の為に広範囲で使用されたとされている。2001年には、改良発展型の「ASARS-UA」が供給され始めた為、現在ではこれを使っている可能性が高いが見分け方は不明である。
この”BB-081”はミッションフライトの為、観客の意向に関係なく滑走するなり大きく機首を上げて急上昇した。両翼に付けられたスーパーポッドも従来の物と比べ、両サイドが扁平に加工されており、右翼のPodはアンテナが下方に多数突き出ている。このポッドは非与圧式多目的ペイロードで様々な観測機器が搭載できるとある。Senior Rudy、Senior Spear、Senior Glassと言った各種センサーの開発は1996年に国防予算化され行われた。其の内Senior Rudyは所謂「ELENT」機能で、電子偵察が目的で取り付けられ電子ジャミング類も可能なのかもしれない。
さて公開2日目展示飛行を行った”BB-084"が戻って来た。いつもより位置を変えて奥に見える山を取り入れて撮影しよう。
2012年10月 この年オーサン基地は第2番目の滑走路を建築中で、現行ランウェイの奥は土を掘り返し地上付近の背景が良くない。U-2Sがまだ高度をとっている東側に移動して、タッチダウン前の高度のあるU-2Sを撮影し帰ることに。
翌21日は、昨日の轍を踏まないように真っ先にU-2展示エリアへ向かった。展示機の飛行は11:20頃だが、昨日のようにそれより早く通常任務のU-2Sが離陸する可能性も捨てきれない。案の定、10時30分U-2Sのエンジン音が聞こえ、10時40分にこの機体が飛び出て来た。昨日とは違う”BB-081"である。21日中に帰宅する予定の我々には、夕方までこいつを待って基地に外で待機する時間はない。この転がりをしっかり押さえておくことにしよう。ちなみにこの”BB-081”は、2010年10月オーサンOHの時もミッション飛行を展開してマニアを喜ばせている。